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2月 10

第11回ISL社会イノベーター・フォーラム~報告~

第11回ISL社会イノベーター・フォーラムに参加して参りました。
以下講演内容を簡単にまとめましたので、ご参照ください。

主催:特定非営利活動法人アイ・エス・エル(ISL)
プログラム

19:00~19:10  フォーラム開始、イントロダクション
19:10~20:40  デービッド・グリーン氏 ご講演
20:50~21:50  質疑応答
21:50~22:00  まとめ

【スピーカー】デービッド・グリーン氏(オーロラボ社、プロジェクト・インパクト代表)
・1992年オーロラボ社を設立、発展途上国で初めて、人工水晶体レンズ、手術用縫合糸、医薬品、メガネを貧困層にも 届く価格での生産を開始。特に水晶体レンズについては、109カ国に販売を行い、世界のマーケットシェアの8%を誇  る。現在は、誰にでも手が届く価格での補聴器を製造・販売する社会的企業の立ち上げを準備している。

・医療器具の製造に加え、グリーン氏は貧困層にも受信可能な診察料で、持続可能かつ低価格で質の高い眼科医療の 提供も支援している。年間30万人への施術実績のある世界最大の眼科医院であるアラビンド眼科病院で初めてこの支 援を開始。世界中で失明する人の多くは、白内障が原因であることから、貧困層にも利用可能かつ、低価格な診療・手 術を提供している。

<所得階層によって異なる価格体系>

・病院のユニークなところは、病院にやってくる人の3分の1は無償、もう3分の1は実費の3分の2を、最後の3分の1は実  費以上の値段を支払う仕組みになっている。
・患者が異なる価格設定を自ら選び、指定された病院へ行き手術を受ける。病院によって、待合  室などの質が異なり、 高い治療をうけられる病院はよりプライバシーが確保されている。
・しかし、重要なことは、外科手術はみんな同じ質を受けられるということ。

<徹底した製造コストの削減>

・グリーン氏は今まで寄付によって賄われていた人工水晶体レンズを、元の製造する企業の製造過程を徹底的に検証す ることで、300ドルで生産していた製品を5ドルで作れると計算した。
・このような製造過程の検証には、多くの技術者や実際にその企業で勤めていた人たちの協力が必要。
・多くの大企業は、現在販売している製品と質的に同じものを、途上国で低価格で販売することで、先進諸国の消費者か ら批判を受けることを恐れている。
・しかし、そうではないのだ。企業のコア・コンピタンスはプロダクトの差別化や価格の差別化に役立てるべきで、こ のような低価格の製品を途上国で売ることはPRという意味でも優れている。


<価格競争>

・患者がどれくらいの金額を払えるのかを考え、そこから生産コストを逆算して計算する。
・価格というものが医療を受けるための障害になってはならない。
・コスト構造を徹底的に分解すれば、思ったほど製造コストがかからないことが分かる。
製品・サービスの提供件数が増えれば増えるほど、価格も下げることができる。
・そして低価格競争の中でも利益は十分ある。
・今や世界マーケットの85%を占める大手企業でさえ、業界の価格をコントロールすることはできない。⇒競争関係を変 えるのに、価格は武器となる。


EX)エジプトの病院で、高額な医療を提供する部門において採算が取れていなかった。
⇒そこで、無償で医療を提供することを始めた。
⇒「私たちは、地域社会を気にかけている」ということが伝わると、高額で提供する部門の患者も増え、採算が取れるように なった。
⇒人々の為に何かすることは、利益につながるということ。

<社会的企業>

・オーロラボで得られた利益は事業の投資に使われる。
・自分がやっていることは社会的だとは思っていない。ただ手頃な価格で良いものを提供すること、低所得者にも   ニーズはあり、それに応えるだけだ。Ex)通常2万5千ドルの補聴器を700ドルで作る。
・さらに、医療従事者が圧倒的に少ない途上国では、ソフトウェアを用いて技術者でなくても、補聴器の調整ができるよう  にしている。
企業が持つコア・コンピテンシーを、いかに持続可能なビジネスに振り向けていくかが重要。



【質疑応答】(会場の質問⇒グリーン氏の応え)

<先進国の医者は高い給料を得ている。アラビンドで働く医者にはどれほど給料を払うのか?>

⇒高水準の給料を払っている。最も高い価値を生み出している人に高い賃金を払うのだ。

<低価格な製品を売ることで、従来シェアを占めていた高額な製品を売る企業の社員の生活の質が落ちてしまうことをどう お思われるか?>

⇒良い質問だ。しかし、大手企業が認識すべきことは、そのうち他者がより低価格な製品を開発するということだ。いかに 現状維持するのかでなく、いかにして競争に生き残るかが重要だ。

<異なる価格設定の中で豊かな人が低価格で手術を受けようするのでは?(ズルする人がいるのではないか?)>

⇒   ・私たちはズルする人を歓迎している。
・そして実際は「豊かな人は貧しい人と一緒にいたくない。同じ病院で治療を受けたくない。」 という心情が             働き、ズルをする人は少ないのだという。
・残念ながら、経済的な力で階級社会が出来上がっており、我々はそれを利用している。消費者の風土・心理を           知ることで、彼らの納得する値段設定につなげることができる。
・補聴器に関しては、インドで貧困層に政府からカードが給付されていて、それを持っていれば、0~60ドルで補聴              器を購入できる。
⇒主たる目的は、身体的理由からの障害を除去することでそのような他者への奉仕の気持ちを持てば、好意                   的に受け取られ、質の良いものを提供しさえすれば、事業は継続するものだ。


<政府としてBOPビジネスに融資をする決意があるのだが・・・>

⇒  ・私たちもフランス政府や韓国政府から融資を受けた。
・BOP層にリーチするためのファンドが必要だ。そして、民間投資家が参加できるように政府がテコとしてできるこ          とがある。
・日本政府が始めにグラントを払うことで最初のロスの緩衝材をつくれる。日本政府の1千万円が後に9千万円の投資             を呼び込むこともできるのだ。


<初めて低価格の製品を開発した時の他社からのプレッシャーはなかったのか?>

⇒    ・多くの人々が外的要因(競合他社等)を一番困難な要因と思っている。しかし、最大の困難は内部にある。
一番大事なのは、企業のガバナンスをいかにコントロールすることである。つまり自らが掲げた社会的ミッ               ションにいかに忠実でいられかが問われる。
・私も当時本当に反対された。結局人と人との対立なのだ。


<資金用達について>

⇒    ・資金調達にあたっても、自社のミッションに忠実な投資家に参加してもらうことが大事。
・初期の段階での投資は低リスクで集めやすい。販売実績があるときも低リスクの為、投資を集めやすい。難しいの               は、事業のスケールアップのための資金調達である。
・そして、投資家にとっての撤退をどうするか?流動性をどう確保するかが課題だ。


<感想>
「常識的に見れば」利益が上がらないようなものを、強い意志で事業化されているグリーン氏の言葉全てに説得力があり、魅力を感じた。いかに自らが掲げたミッションに忠実であるか、これは企業のあり方だけにとどまらず、私たちの身の振り方すべてに問わなければならないと感じた。





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