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3月 10

『BOPビジネスのフロンティア‐途上国市場の潜在的可能性と官民連携‐』

本日行われました、経済産業省主催『BOPビジネスのフロンティア‐途上国市場の潜在的可能性と官民連携‐』に参加してまいりました。12:30~17:00という長時間にわたるセミナーで有意義なものでした。
パネルディスカッションにおいてそれぞれ異なるバックグラウンドの方々が登壇され、興味深い意見が聞かれましたので、ご紹介いたします。

パネリスト
讃井暢子氏 (社団法人日本経済団体連合 常務理事)
槌屋詩野氏 (株式会社日本総合研究所ヨーロッパ 研究員)
富野岳市氏 (特定非営利活動法人国際協力NGOセンター 事務局長)
小山智氏  (経済産業省 貿易経済協力局 通商金融・経済協力課長)
モデレーター
佐藤寛氏 (JETRO 貿易開発部 上席主任調査研究員)

パネルディスカッション
<BOPビジネスブームについて>

讃井氏
・多くの企業はBOPビジネスに関心は高いが、具体的にどうしたらよいかわかっていない。
・社会に有用な製品・サービスを提供すること、消費者のニーズを満たすことが企業にとって本質的な目標だ。
・日本企業は事業における社会のというものをDNAとし持っている。

富野氏
・NGO側としては混乱している。BOPビジネスは、マーケティングの手法として開発分野に入ってきた。賛成派は小数である。
・パートナーとしてのNGOの存在が必要とされている。企業のビジネスパートナーとしてだけでなく、本当に社会課題を解決しているのかをオブザーブしていく必要がある。

槌屋氏
・欧米ではBOPビジネスを非常に大きな機会としてポジティブなものと捉えられている。
・一方、日本ではある一定の焦燥感があるように感じる。
・成功事例の裏にはたゆまぬ努力があり、事例の70%は失敗している。
・途上国が伸びていくのと共に、日本も一緒に成長していくこと、そして私たちもある種の誇りを回復していく、そういった構図であればよい。

小山氏
・デリバティブといった金融商品による経済拡大とは異なり、BOPビジネスは現地での情報通信技術の拡大といった、明確な事実に基づいた経済拡大である。

<欧米企業から何を学ぶのか>
讃井氏
・収益確保によるビジネス性を大事にすること。
・BOPビジネスは社会性だけでなく持続的な取り組みである。
・企業の経営にとってどのような位置づけなのかを判断し、株主への理解、人材の必要、成果を測る尺度などが必要だ。

富野氏
・MDGsの達成という観点からならば、NGOが関われる。
・BOPビジネスがターゲットとするのは最底辺ではなく、所得階層の少し上であるかもしれない。
・日本のNGOはまだ、欧米と比べて、企業の対等なパートナーとしてやっていけるかに課題がある。
・パートナーとしての連携の前に乗り越えなければならないことがある。まずは、企業とNGOがお互いを知り合わなければならない。

槌屋氏
・理念は人がつくるもので、ビジネスモデルが作るものではない。
・各社のイントラプレナーいて、彼らの試行錯誤から生まれるものだ。
・ビジネスの周りにある生態系を作ることが重要。そして生態系のアクター間を橋渡しするファシリテーターが重要。
・収益を出す前にイノベーションが必要であることを認識すべき。
・新しい考えや人材に対していかに企業が自己投資できるかにかかっている。


<潜在ニーズ調査について>
小山氏
・インフラの調査などはもっと必要。アフリカでも調査を始めている。

槌屋氏
・非常に有益な情報である。これから日本企業がどう使うかに注目。
・企業が進出していくときには情報があまりにも少なく、市場を理解しづらい。何をしていけば必ず収益が上がるのかというパスが見えないとやりづらい。

讃井氏
・目からウロコの情報である。ただもっとニーズを明らかにし、また母数がどれくらいあり、そのニーズが地域的に集中しているのか、それとも分散しているのか、など細かいところも知りたい。
・様々なニーズの中でプライオリティが高いのはどれなのか、といったことも知りたい。

佐藤氏
・潜在ニーズ調査は、多くの日本のコンサルタントに委託し、さらに現地の会社に委託して調査している。ビジネスコンサルタントもあれば、開発コンサルタントもある。前者は調査の母数が少ないが、ビジネスに有用なデータを持ってくる。後者は母数は多いが、ビジネスに有益な情報でないデータであることが多い。
・結局は企業の方々に自分たちで行って頂くしかない。


<現地の視点>
槌屋氏
・現地の企業を見ていると、「彼らは戦後日本でいう渋沢栄一なんじゃないか?」と思うことがある。公を担う事業が収益につながるということが彼らには見えている。
・投資家の顔を伺い、収益を気にするのでなく、顧客を見ることが重要。




<パートナーシップについて>
富野氏
・重要なのは、人と人との接点である。「連携」といったがっちりしたものではなく、まず、お互いが会ってコミュニケーションをとり、理解しあうことが重要。

槌屋氏
・欧米の企業に聞いても、きっかけは人と人との会話から始まっている。こういったコミュニケーションを取れる場を作る事が大事。
・NGOサイドの人材育成が必要。NGOには企業と一緒にやっていける人材が少ない。
・企業とNGOの最終的な目的が異なるのはしょうがない。コミュニケーションを続けて、お互いがリスペクトし合い、両者の重なる目標をどんどん明確にしていくべき。

讃井氏
・BOPビジネスを行っていく上での、困難を乗り越えるためには、官の支援が必要。
・具体的には、情報収集、採算性が望めない場合のファイナンスの支援、実際の事業における現地での普及・啓蒙活動支援、知的財産権の保護・投資協定といった、ビジネス環境整備である。

小山氏
・人と人とが出会えるようなプラットフォームを作って行きたい。


<最後に>
槌屋氏
・将来、カイロ、上海、デリーが中心となっているかもしれない。
そんな未来に自分たちがどう関わっていくかを考えてほしい。相手を変えるためには自分が変わらなければならないように、世界をサスティナブルにしていくためには、自分がどう関わっていけるかを考えてほしい。


讃井氏
・BOPビジネスはイノベーションや社会的課題の解決だけではなくて、企業の成長の源泉として捉えることができる。

小山氏
・企業のトップの方はぜひチャレンジしてほしい。企業のトップでない方も、今日学んだことをトップの方に説明してほしい。

<感想>
経済産業省の小山課長が「情報収集から実行するBOPビジネスへ」とおっしゃったことは非常に重要だと思う。人と人の会話から始まり、生態系を作っていく。苦しみは多いが、私たちがどのような未来を創っていくかを真摯に考えなければならない。
BOPブームは去り、ここから私たちのアクションが問われると思う。





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