インタビュー

27th 1月
2010
written by kurimoto

財団法人ジョイセフ 甲斐和歌子さん
             塩田恭子さん 

  【概要:ジョイセフの活動】
   途上国の妊産婦と女性の命と健康を守るために活動している日本生まれの国際協力NGO。
   戦後の日本が実践してきた家族計画・母子保健の分野での経験やノウハウを途上国に
   移転してほしいという国際的な要望を受け、1968年に設立。
   国連、国際機関、現地NGOや地域住民と連携し、アジア、アフリカ、中南米で、保健分野
  における人材養成、物資支援、プロジェクトを通した様々な支援を行っている。 
   
  【現地の課題】
1.病院がない、薬などの道具がない、医師や看護師がいないなどの保健システム上の課題。
2.妊娠・出産に関する知識や情報不足
  ⇒自宅でお産をする時に、介助をする村のお産婆さんの知識と技術が不十分なため、安全で衛生的な
   お産ができず、母体や新生児の命が危険にさらされることがある。
3.病院などの施設への移動手段
    ⇒遠方のクリニックまで行くバス代が高くてお金が払えない。
4.伝統的価値観や社会的慣習
    ⇒アフガニスタンでは男性の付き添いなしで女性が1人で外出してはいけなかったり、男性と二人だけで
  一緒の部屋にいてはいけない(診療は女性の医師に限られてしまう)などの文化や宗教などの伝統的価値観。
     女性が12~13歳頃から結婚する社会的慣習のある地域では、妊娠や出産をするには余りにも母体が未成熟で、
  出産自体が母体や胎児にとって危険。また妊娠しても十分な休養をとることができない地域もあり、
  その結果、出産が危険になることがある。

   【自宅分娩用の出産キットの中身】
  (医療従事者が立ち会う出産がベスト。どうしても自宅での出産を免れない場合に使用するもの)
お産キット 
1.へその緒を切るかみそり ←不衛生なカマや竹などを使用して破傷風になるのを防ぐ
2.妊婦さんが横になる時に必要なビニールシート ←バナナの皮や動物の皮を使用している所もあった
3.へその緒を結ぶ紐
4.へその緒を切るときに使うプラスチックのプレート
5.取り扱い説明書 ←分娩介助者が使い方を理解するために書かれたもの。文字が読めない人でもわかるように絵でも説明している。
6.手を洗う石鹸 ←分娩介助者が手を洗うためのもの。

   

  ※国連や途上国のNGOによって配布されている出産キットには
     他にもせっけん・ゴム手袋・鉄分タブレット・爪を磨くブラシなどが入っているものもある。
  途上国のNGOの中には、手作りでアルコールランプを作っているところもある。
お産キットその2アフリカンランタン   

 【医療道具以外に支援している物資】
1.ランドセル(アフガニスタンに送っている)
    ⇒中にノートや鉛筆などの学用品が入っている。(←土に指で文字を書いて勉強する環境もあるため)
    ⇒青空教室ではランドセルを机やいす替わりにして使っている生徒もたくさんいる。
 2.HIV/エイズに関する紙芝居
  ⇒エイズとはどういう病気か。どうやって感染するのかなど、エイズに対する偏見をなくすための
  紙芝居。紙芝居は文字の読めない人でも理解でき、電気がないところでも使用できる。
3.再生自転車
  ⇒日本の放置自転車を、再生して、途上国に送っている。途上国では、保健ボランティアが村を巡回
  するために使用されたり、荷台を使って救急車代わりに使用されている。
自転車  
  

 

 

 

 

 【ジョイセフスタッフが考える現地のニーズ】
   アフガニスタンの現地NGOから実際にほしいといわれているもの
  ・電気がなくても使える視聴覚教材(映画など)+ 自家発電を可能にするキット
  現在、現地では、ジェネレーター、プロジェクター、パソコン、スクリーンで対応しているが、
  もっと軽量で、持ち運びに便利なもの、安価なものが必要。

  たとえば、小さいソーラーシステムがあって、自家発電できるようなものがあるとコストがかからず使いやすい。
 
  さらに、クリニックにも電気が通ってない現状の中、真冬の凍えるような寒さの中、
 病院に人が来なくなってしまう状態を防ぐことが可能になる。また、自家発電できるとポンプで水がひけるようになる。

 

 **編集後記**
 現地のニーズから生まれた製品を実際に見て、「現地の人自らこんなものを創り出すのか」という驚きがまずありました。
 日本にいては到底知ることのできない現地のリアルな状況や課題を知ることができ、
 その課題へのアプローチとしてどういったプロダクトがあるといいのか、について改めて考えさせられました。





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13th 1月
2010
written by admin

logo_jica
RIMG0339 独立行政法人 国際協力機構 (JICA)
民間連携室 参事役  高野 剛氏


BOPビジネスへの取り組み

2008年10月の新JICA設立を機に、民間企業との連携をいっそう強めていくために「民間連携室」が新設されました。それまでも民間企業との連携は例えば途上国でのインフラ整備などの面では多くの実績がありましたが、CSRやBOPビジネスとの連携ということになると限られた実績しかありませんでした。
そこで、平成20年度の後半から、JICAとしてBOPビジネスについての知識や理解を深めようということで、まずBOPビジネスについての外部有識者や企業関係者などをお招きし、JETROと共催で「BOPビジネス勉強会」を開催しました。その中で、外国の企業や援助機関、国際機関などが10年ほど前からBOPビジネスのポテンシャルに注目し、援助機関などが企業との連携制度を立ち上げ、連携実績も既に相当あることがわかりました。この勉強会を通じ、我々JICAとしてもBOPビジネスの持つポテンシャルをもっと深く掘り下げていく必要性を強く感じました。
そのため、平成21年度には、JICAのBOPビジネスとの関わり方を具体的に考えていこうということで、現地調査、外部有識者による研究会、公開セミナー(注1)などを含む「BOPビジネス調査研究」(注2)に取り組んでいます。
当室から見て感じられる最近の傾向として、立ち上げ時にCSR活動の一環と位置づけるところと、当初から事業部門が本業として取り組むところの違いはありますが、民間企業の中で、本業の強みを活かしてBOPビジネスに取り組もうという関心が少しずつ高まりつつある、ということです。そのような日本企業側の変化も受けて、今まで例がなかったに等しいBOPビジネス連携を積極的に取り組んでいこうと考えています。私たちJICAの役割は、民間企業やNGOがBOPビジネス、ソーシャル・ビジネスを始める際の、促進、後押しをすることだと考えています。
経済産業省も国としての支援策を検討するため「BOPビジネス政策研究会」を実施しています。(注3) またNGOの中でも、企業とのディスカッションを重ねるなど、BOPビジネスへの関心が非常に高まっています。(注4)

BOPビジネスへの期待と限界

BOP層についての国際的な定説と言えるようなものはまだ確立していません。JICAとしては、貧困というものを家計所得の水準の高低だけで判断するのは適切ではないと考えています。所得が低いだけではなくて、例えば基礎的な保健医療や教育さえも受けられない脆弱な立場の人々、女性、少数民族、障害者、HIV/AIDS感染者、低カースト層など、さまざまな差別に遭って、社会的に孤立化させられている人々、つまり、社会や開発プロセスから除外されて相対的貧困の状態にある人々も対象として広く捉える必要があります。
民間企業がBOPビジネスに関心を持ち取り組み始めることを促し、また途上国での具体的な事業において連携することによって、国連ミレニアム開発目標(MDGs)などとも関連性のあるBOPビジネス、ソーシャル・ビジネスが企業、NGOによって積極的に展開されるようになること。それはまさにJICAのミッションに合致することです。単に企業の途上国進出を支援するだけ、ということとは違って、その側面に加えて、JICAは現地の事務所や人員、情報やネットワークなどをはじめとする開発援助機関としての強みを活かしながら、途上国の人々の生活・生計の向上という効果も合わせてもたらすBOPビジネスと効果的に連携し促進することができると考えています。
企業はBOPビジネスでは、設定する価格帯を当然低く抑えたものにして、BOP層に対してモノやサービスに価格を付けて提供するわけです。しかし、貧困層の中でも最貧困層の人たちにとっては、それらを購入すること、対価を支払うことが難しい場合も少なくないと思います。BOPビジネスも決して万能ではありません。そのような場合は、途上国政府の事業で、あるいは、JICAのような開発援助機関やNGOの途上国支援で、彼らの基礎的ニーズが満たされるよう無償配布の形で最貧困層に提供することを継続・充実させていく必要もあると思います。

企業、NGOへの期待

対象顧客層となるBOP層にとっては、一番大事な命や健康に関わる食糧、栄養、健康などの問題、子供の基礎教育に関わる問題をはじめとして多種多様なニーズがあるわけですので、企業やNGOには、彼らの生活が改善されることにつながるようなBOPビジネス、ソーシャル・ビジネスを様々な分野、業界で取り組んでいただければと考えています。
BOP層の消費者に支持される商品やサービスの提供はもちろんですが、さらに、BOP層自身がビジネスに携わる部分を少しでも広げていけるようなビジネス・モデルを考えていただくことも非常に大切です。BOP層にサプライチェーンに入ってもらう、そしてBOP層にとってのビジネスの取引や雇用を創出し、また、彼らが自らの経済活動、生産活動を発展させていくために必要な投入財やサービスを提供することも期待しております。それがBOP層の所得や購買能力の向上、そして現地の消費者、社会、政府からの支持の拡大にも繋がります。そして、BOPビジネスのキーワードの一つでもあるwin-win関係の構築を可能にし、企業にとっても中長期的にプラスになるはずです。
BOPビジネスはあくまでビジネスですので、当然コストをきちんと回収して採算をとり、社会の役に立つ事業を拡大していくための再投資に必要となる利益を生んでいかなければなりません。とはいえ、BOP層に向き合う時、相応のリスクやコストが伴うことから、短期間に利益を生み出すようにすることは容易なことではなく、企業にとってチャレンジの部分も多いと思います。
その意味で、JICAのような機関と連携していただくことで広がる可能性もあると思うので、JICAが今春立ち上げようと準備中の提案公募型の「BOPビジネス促進制度」(仮称)にも関心を持っていただき、優れたご提案を頂ければと期待しています。

注1:「BOPビジネス公開セミナー」の案内のURL
http://www.jica.go.jp/event/pdf/100118bop.pdf http://www.jica.go.jp/event/pdf/100119bop.pdf
注2:JICA BOPビジネス調査研究の関連サイトのURL
http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject9999.nsf/3b8a2d403517ae4549256f2d002e1dcc/b2cfb142b4a076cc4925762500341a35?OpenDocument
注3:経済産業省「BOPビジネス政策研究会」の関連サイトのURL
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/k_5.html
注4:特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)のCSR連携NGOネットワークの関連サイトのURL
http://www.janic.org/more/companyngo/csrngonetwork/index.php

~編集後記~
JICAと民間が協働すると、どのようなシナジーが生まれるのか。海外協力隊に行く友人の話を聞きながらそんなことを思っていた矢先、高野様のお話を伺うチャンスに恵まれました。
お話を聞いていて感じたのは、各セクターがそれぞれの役割を認識すること、同時に自社の強み、弱みを改めて見つめなおすこと、足りない部分は相互補完しあうこと。単純な様で、それが全くできていないのがこれまでの現状なのだろう、と感じました。
民間連携室をはじめとした、JICAの今後の動きに注目です!

株式会社Granma
熊坂 惟





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4th 1月
2010
written by admin

fasid


FASID 国際開発研究センター参与 秋山孝允氏

FASIDのBOPへの取り組み

FASIDは6,70人くらいの組織で、予算の大半は外務省からきています。今度の民主党の仕分けによって、今後が左右される状態にあります。
新聞などでもたまに取り上げられるODAは、どんどん削減される傾向にあります。
最初のFASIDの設立理由は、当時開発援助に関する専門の大学院がなかったのです。日本のODAもどんどん伸びている時期でしたので、それではまずいということで設立されました。FASIDは15年以上いろいろな変遷がありましたが、私が行っているのは、開発の研究、話し合いの場を設けるシンポジウムの開催などです。その中でこの3,4年前から注目しているのがいわゆるBOPです。
中でもFASIDとしては、民間との関わり方にどういった形が考えられるのか、ということです。私自身、途上国の発展に民間セクターの成長が欠かせないと思っていますし。
その中で開いたのが09年11月の国際シンポジウムです。

具体的な着目ポイントは?

日本の場合、民間企業が目を向けているのはアジア、もっというと中国、インドですね。やはり。でも私からすれば、そこら辺は日本が出て行かずともいいのではないか、とも思ってしまいます。彼らはすでに黙っていても成長していきますし。今一番興味を持っているのは、サハラ以南のアフリカですね。
日本の民間企業は、外国と比べて極端に途上国への興味がないです。もちろん税制の問題などもありますが。BOPが民間で興味を持たれているのは、既存の市場が飽和状態にあるから新しい利益を求めてのことであって、開発といった観点はほとんどないのではないか、と思っています。
日本ポリグルの小田会長も言っていましたが、やっぱり開発といった観点を持って、さらにその土地の文化的背景を知って、といった要素がないことには民間企業の参入、成功はないと思います。売るだけではだめですよね。うまく購買力を育てながら、雇用を生み出し、所得を上げながら一緒に育っていかないといけないと思っています。

現場から思うこと

私は途上国に出張することが多く、現地に行っていつも思うのですが、買うものがないんですよね。少なく見積もって両替してもいつもお金が余ってしまう。彼らとしても、ある程度ちゃんとした店があって欲しいものがあれば生産意欲も購買意欲もわくと思うんですが。
アフリカの田舎で所得があがったら何を買いますか?と聞いたことがあります。
何て答えたと思いますか?「サイダー」だそうです。日本も確かに戦後はそうでした。ぼくが小さい頃もサイダーが最高のご馳走でしたからね。彼らにとってのちょっとした贅沢はサイダーなんですよね。その答えを聞くまで想像もつかないですよね。低所得者のためにつくられた、おもしろくて、多少洒落ていて、ちょっとしたお金があれば買いたくなるような商品がない、圧倒的に不足しているんですよね。何にもない。だからこそニーズはある。でも、一方的な売ってなんぼの精神だけでBOPを捉えるのはお互いにとって、やめたほうがいいと思います。

~編集後記~
幼少期が戦争直後だったという秋山氏。その時代とBOPの現状の共通性について少し触れていただきました。その着目点は大変興味深く感じました。国連、世界銀行、FASID、さまざまな角度からキャリアを積み、現場に入り、現在に至る秋山氏のお話からは短時間ではありましたが、イマジネーションが掻き立てられました。





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1st 1月
2010
written by admin

yasunobu株式会社ワイズポケット代表取締役社長 寶槻泰伸氏

市民先生プロジェクト~BOP展開~

イメージとしては、地上戦と空中戦。その組み合わせだろうと考えています。地上戦でBOPというと、僕が考えるプロジェクトの拠点となるのは、いわゆるイーチョパルのような日本でいうところの公民館のような農村にある施設です。その場所を活用して、アントレプレナーが塾を主催できるようなモデルを作ろうと考えています。「BOPフランチャイズ塾」ですね。
国・数・英など、いわゆるフォーマルな教育を重視して、デジタル教材を作成しておきます。その教材を利用して、村の人、アントレプレナーが授業を行えるようにする。もちろん彼らはきちんと授業料から収益を得る。日本で言うと、公文式のイメージと近いですね。

一方空中戦のほうは、志をもってさまざまなことにトライしている人たちの人生を、その人自身の生の声で語ってもらい、それを蓄積して「志民先生ワールドワイドライブラリー」として展開していきます。もちろんその志民先生は世界中から集めます。見てみたくないですか?そんなライブラリーがあったら。
具体的にいつまでにという期限は決まっていませんが、とにかく人生をかけてやるだけです。具体的な話しとしては、まだ水面下ではありますが、モンゴルのノンフォーマル教育のICTセンターのトップとお会いして、トライアルとしてモンゴルでやってみようという話が進んでいます。

プロジェクトの利点


個別指導のイメージで、来る子どもにあわせて、電子教材を開いてあげて、それを見て理解したようだったらそこでワークペーパーを渡して、解いてもらって丸をつける。その子たちの理解の進度に合わせられる点、家の手伝いなどで定時に学校に通えないという問題に対応できる点、あとはなんといっても、教える人と教えるノウハウが絶対的に足りていないのでそれを補える点が利点ですね。教える人を育てるのはすごく時間がかかることですよね。

公文式がすごいのは、教える人不在でできるんですよね。スモールステップといって、階段を登るように少しずつ進めればだれでもできるようになる、というステップをペーパードリルで作ってしまったわけです。あとはそれを主催するのはお母さんでいいんですよね。

教育が発展するために重要なのは、学校がいい教育を提供するだけでなく、教育というマーケットができることだと思います。マーケットが誕生することによって、いろいろなプレイヤーが登場するので、自然と競争原理がはたらくのです。競争することによってクオリティが高まる。するとマーケットにお金を落とす、いわゆる消費活動がはじまるんです。市場をつくらないことには、そこに生産活動も消費活動も生まれませんし、クオリティも当然高まらないわけです。
この事業構想は、ただ単にいけると思ったというより、途上国の中で教育へのニーズを形にする動きがICTを介して力強く動き始めているなと感じたからです。そこはビジネスチャンスでもあると思うんです。

ミッション

教育がもっている社会的な意味、仕組みを経ることで、生まれた時点のバックグラウンドが一度シャッフルされるんですよね。いわゆる「教育における機会の平等」です。学びたい意思、意欲、学びを通じて社会のためになる人になりたい、そう思っている人たちには誰にでも平等にその機会を提供しなくてはならないと思うんです。これが教育における重要な精神だと思います。

今の日本と途上国の課題は違います。途上国の場合はチャンスの拡大、特に質の高い教育を受けるチャンスですね。これが重要。一方日本の場合、教育の内容をどうやって時代に合わせて変化させていくのか。その方法は異なります。ただゆくゆくは途上国にも学びの場が現れ、教育を受けるチャンスが広まっていきます。すると、いま日本で抱えている課題と同様の課題が途上国でも顕在化してきます。
それはゴールがない世界です。どこまで達成すればという線を簡単に引けるものではないので。だからこそあくなきチャレンジなんですよね。

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~編集後記~
寶槻社長には、BOPの話以前から我々の運営するイベントにゲストとしてお越しいただくなど、お付き合いさせていただいていました。寶槻社長の示すビジョン、語るメッセージには力強く、かつ人を魅了するものがあります。「我々の活動は、まだ決して大きいものではないかもしれないが、社会の隅っこではなく、ど真ん中であり続けなければならない」という言葉が印象的でした。Granmaとしても、寶槻社長ならびにワイズポケットとは今後一層、何か

一緒にできるのではないか、そんな思いが強くなりました。





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11th 12月
2009
written by admin

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菅原 秀幸氏

北海学園大学 大学院経営学研究科・経営学部教授(国際経営論)
http://www.sugawaraonline.com/profile/

現在の活動
7年前(2002年)C.K.プラハードの論文を読み、次の研究課題にしようと考えたことがBOPビジネスの研究のスタートでした。当時は、環境関連の研究を行っており、すぐにはBOPをテーマにできませんでしたが、研究課題が落ち着いた5年前に本格的にBOPビジネスの研究をスタートしました。
当時は日本に研究者は見当たらなかったため、最初は海外の研究者に日本人の研究者、日本の事例がないか直接メールで聞いて回りました。「日本の優秀な企業はBOPに参入していないのか?ぜひ教えていただきたい」その答えは「誰も知らないのであれば、あなたがやりなさい」と。そこで、まずは一人で研究をスモールスタートしました。
WorldGlobe2世界最大の問題は”環境”と”貧困”、この2つであると考えており、環境は課題がすでに喚起されており、企業が環境ビジネスに参入していました。そして、次は貧困がメインテーマになると考えていました。しかし、BOPが理解し難い研究のため、助成金・補助金の申請が下りず、更には現地・現場に行く経費も必要で、厳しい状況が4年間続きました。途中で幾度となく、研究を諦めようと考えましたが、去年の暮れあたりから、企業や官公庁からの問い合わせが増加しました。何事も地道に継続することが大切と実感しましたね。

今後のBOPビジネスについて
BOPビジネスは市場じゃないところを市場にしていくので、儲けのセンスや本気度が試される場と感じています。わけがわからないスラム街に入って、ビジネスを行うということは普通ではできない。命をかける覚悟がないとやっていけない。
また、BOPと一言でいっても国や地域はバラけているので、どこかの国にターゲットを絞ることが大切になってきます。バングラディシュ、インドはBOPのラッシュであり、今からBOPビジネスを始めるのであれば、僕だったら、そこを市場に選ばないですね。(起業家が)BOPビジネスをスタートするときには、起業家の持つ原体験はプラスにもマイナスにも働きます。自分の原体験・経験に引きずられることで見えるものも、見えなくなる可能性があるからです。だから、まったく何もないまっさらなところにいって築き上げると、頼るものがないから真剣度が増すし、新しい発想も生まれてくる。BOPビジネスは斬新な発想が重要ですからね。

BOPビジネスのアプローチの方法として、最初からBOPだけをターゲットに絞るのではなく、富裕層・ミドルクラスで収益を確保しながら、(BOP層へ)下がっていく戦略も検討できます。ヤクルトはBOP層にも販売しているが、富裕層も飲んでいる。どんなに高邁なことを言っても、ビジネスは収益源がないと続けることができないのです。

日本国内での動き
12月からJETROが主催する全国へBOPの啓発・普及を目的としたセミナーに講師として参加します。3月末にはF/S調査(8月に経済産業省より公募あり、詳しくはこちら)の発表等も控えておりますので、来年の前半、3月~4月にかけて日本でのBOPビジネスの大きな波がやってくるのでは、と予想しています。

僕のミッションは本業を通じてBOPに貢献することです。つまり、(学者として)研究を通じて、BOPに貢献すること。我々研究者の成果はお金ではなく、企業から、(BOPビジネスの)フィードバックを受け、次の研究へとつなげていくことです。学者はアドバイスをするだけで、実際にはビジネスをやるわけではありません。それぞれが役目をまっとうすることが大切と考えています。

一流の人に会い、フェイストゥフェイスのネットワークを創る
情報は発表された瞬間に価値を失います。情報の波の最先端にのるために、その業界・世界の一流の人とFace to Faceのネットワークを創ることです。その点のネットワークがどこかでつながって、面となり世の中を大きく動かすテコとなります。そして、一流の人に会うためには自分自身を磨かなければいけません。常に自分自身を磨き、光り輝くよう努力することです。

相手の立場に立って考えること
常に「自分が」ではなく、「相手が」の立場になって考えることです。相手の立場に立って、相手が何を望んでいるか、相手にとっての価値を提供することが大切です。

私の好きな仏教の説話があります。
天国と地獄があって、どちらもテーブルを挟んで座り、とても長い箸を使って、ご飯を食べています。天国ではみんなが健康的でにこやかに食べています。地獄では痩せ細り、イライラしています。なぜなら、地獄の人は自分で料理をつかんで、自分で食べようとしますが箸が長すぎて、食べられません。天国の人はお互いが相手が食べたいものを選んであげて、食べさせてあげるのです。
天国と地獄は紙一重で、自分が最初か相手が最初か?です。

サステナブルなビジネスとは?

誰かに親切にしたときに、自分も自然と笑顔になる。すごくシンプルですが、すべてはそこにあります。相手を喜ばせると、黙っていても幸せになるのです。自分たちがやっているビジネスが本当にほかの人の幸せにつながっているのか?誰を幸せにしているのか、それを常にイメージすることです。
自分たちが創り上げているビジネスの向こう側にどんな笑顔があるのだろうかとイメージしながら、組み立てていく。それがサステナブルなビジネスの秘訣であると思います。

常識すべてに疑問を持つ
常識は場所によっても時代によっても違います。第二次世界大戦時代には今とは全く違う価値観がまかり通っていましたし、遠くアフリカのケニアでは日本と違って一夫多妻制が認められているなど、事例をあげればきりがありません。だからこそ、常に常識を疑う姿勢を持つことが新しい発想を生み出すヒントになります。

Different!
Think different!Act different !Be different!
これは私の大学で、ゼミの学生が入ってくるタイミングで、「これが菅原ゼミで学ぶすべてである」と伝えていることです。つまりは、経済の大原則として「少ないものの価値は上がる、多いものの価値は下がる」ということにつながります。

最後に。
一生懸命やっている人は必ず応援してくれる人が出てきます。
最初は半信半疑だけれども、でもやっぱり最後には必ず出てくるのです。
しかし、まずはやってみなければわからない。thinkタンクではなく、doタンクです。
そして、今は小さな光かもしれないが、もっと大きなライトとなって世の中を照らし、周囲の仲間にも火を灯していくようになってください。

~編集後記~

東京にいらしていた中の貴重な隙間時間を頂戴し、菅原教授のお話を伺いました。その話はBOPだけにとどまらず哲学、思考訓練方法にまで及び、夢中になって話しを聞くうちにあっという間に2時間近く過ぎていました。

人一度学ぶところ 己は十度学べ
人十度学ぶところ 己は百度学べ
これを努力精進という
たとえ愚か者であっても その人努力精進したならば
必ず大成することができる
菅原教授のWEBページにある言葉です。doタンクの精神と、”向こう側”へのイマジネーションを大切に、一層精進しよう。そんなモチベーションを掻き立てていただいた取材でした。
ありがとうございます!

株式会社Granma
熊坂 惟





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7th 12月
2009
written by admin

keynotespeakers_daisukeGrameen Communications Global Change Makers ProgramJapan Chief Coordinator 三好大助氏(早稲田大学文化構想学部3年)

http://gramweb.net/index.php




現在の活動

グラミン銀行最先端ITプロジェクトである「One Village One Portal Project(以下OVOP)」事業と、昨年の秋に出会いました。

現在は、OVOPプロジェクトと、現地に日本人学生をインターンとして派遣するプログラムGlobal Change Makers Programの2つを行っています。

昨年の夏、グラミン銀行、ムハマド・ユヌス先生に会いに行き、様々な出逢いを経てそこから現在の活動が始まっています。

もともとITに対して興味、知識があり、大学2年生の夏にITベンチャーの起業に参画をしたりもしました。そんな中、ITを活用して何かできることはないかな、ということをずっと考えていました。そんなことを考えながら現地に行くと、思っていた以上にネットにつながっているパソコンがあることに気づきました。ただ、実際にはDVDプレイヤー代わりにしか使われていなかったり。これをもっと活用できないか、そう思っていた時に出会ったのがOVOPでした。

OVOPとは

OVOPとは、今まで情報の受け手であった農村の人たちが、インターネットを通じて自ら農村の情報・ニーズを発信するコミュニケーションサービス。

村ごとにポータルページを作成し、村民がそのページを通じて、自ら自分たちの村の統計情報やニーズを政府に、企業に、NGOに、世界に発信するというモデル。バングラデシュという国は、国勢調査のスパンが10年に一回、かつ質がものすごく悪いという問題がありました。NGOや、企業は独自のオーナーシップを持って調査しているわけですが、なかなか正確な情報を得ることはできないし、手間もかかる。だったら村のことは村の人たちが 一番知っているのだから、彼ら自身が調べて、それをネット上にあげてもらえばいいのではないかと。識字率が高くはないので、現地PCにアクセスするのは英語も話せる専任の方を現地の村から雇います。現在は、プロトタイプとしてある地区限定で行っています。


research

現地での活動

ぼくが行っていたのは、農村の人たちが情報を集めるためのお手伝い、村の人たちのニーズ調査などでした。村にホームステイして、彼らとおなじものを食べ、同じところで寝ながら行っていました。

複数回行っているので、合計すると3ヶ月くらい滞在していたことになります。現地に入ってみて抱いた感想は、確かに数字の上では貧困で、本当に貧しい人もたくさんいますが、そこまでみなさんがイメージするような貧困状態ではないと感じました。

何よりも、ぼく自身、貧困だから、といった見方はしたくないですし。

実際に生活してみて、彼らに一番必要と感じたものは?

足りないもの、欲しいものを聞いても、なかなか出てこないです。

ぼくから見て足りないと感じたもののひとつは、教育環境ですね。教師に対する給料が少ない。だから教師が不足している。教育がレバレッジポイントなのではないかと思いました。教師になるにも、大人たちの識字率が低いという課題があることに着眼して、ぼく個人として滞在中に何かできないかと、夜間に大人のための識字教育を開いていました。

今後やっていきたいこと

「突き抜ける」、その一言につきますね。

ぼくはこれまで世界を変える、だの言ってきましたが、本当にうすっぺらかったと思っています。

「イノベーションは個別具体的な事象から普遍を見出すことから始まる」

この言葉を、グローバル・アントレプレナーシップ・ウィークで野中郁次郎先生がおっしゃっていました。バングラデシュで体験したことを振り返る中で、その言葉に共感を覚えました。

だれを対象とする活動なのか、それは目の前の人に対する思い入れの深さにつながるのではないか、と。確かに、貧困という枠、BOPという枠でも語れるのですが、バングラデシュという国単位、○○村という単位、○○家、○○さんというより個別具体的なレベルで語れるところまで考え、考え抜くことが大事ではないかと思っています。ぼくもそうありたい、だから現場に入っていこうと強く思っています。

目の前の相手が誰なのか、対象によって違いますが、十年、二十年後当たり前になっているような仕組み、サービス、技術などから逆算し、そこから今の時代のパラダイムをつむぐことに貢献できたらいいな、と思っています。

来年からは、自分でプロジェクトを持って現地でトライアルしながら過ごそう、とか自分たちと同世代の世界中の起業家たちに会いに、現場に入り込みに世界一周しよう、とか考えています。

ぼくは貧困を特別扱いしているわけではありません、どこの国の誰さんが相手でも、本質的にはその人と一緒にワクワクできればと思っています。

Picture_Chilmari[1]

編集後記

三好さんとは、TIEC社会起業家フォーラムにてお会いしたのが始まりでした。その一週間後に本取材をさせていただきました。

印象深かったのは、三好さんの実行力。クイックに動きながら大きく考えていく、なかなか真似できることではないと感じました。

ご紹介したグラミンでの活動ももちろんですが、セカイカメラ、三次元プリンタ、と今後の展開が楽しみな技術へ着眼されている点。広く、長い視野で物事を捉える三好さんとは、同世代として今後一層高めあっていきたいと感じました。

株式会社Granma

熊坂 惟





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4th 12月
2009
written by admin

4901234714 http://business.in.com/interview/boardroom/we-must-see-india-and-bharat-as-one/4312/1
Forbes Indiaに”CK Prahalad”のインタビューが掲載されています。”2009/9/19″

以下、簡単に要約しました。

名前: C.K.Prahalad
年齢: 68
職歴: 1977年~ ミシガン大学教授
業績: Padma Bhushan、Thinkers50によると、最も有力なビジネス思想家の一人
趣味: 旅行、長い散歩、および読書

ワイヤレス業界にはおそらく最も目に見える変化がありました。 今日、インドに住む4億人に利用されており、 これらはほとんどが小口消費者です。 携帯電話はアイデンティティを人々に与えました。 Safaricomはケニアで80パーセントのシェアがあります。 同じことは南アフリカでも起こっています。 これは地球規模の変化です。

BOP市場はイノベーションの震源地になります。 インドでのイノベーションの普及、例えば、「TATA・NANO」。
これはインドだけではなく、グローバルな自動車産業のインフレクション・ポイントを作成した。 「NANO Housing」 や健康保険も注目されている。

Jaipur RugsITC eChoupalAmulAravind Eye HospitalsNarayana Hrudayalaya彼らは皆、世界を相手にする新しビジネスを創りだした。 これらのビジネスはすべて「村 -Village-」で創りだされました。

私が予期しなかったものは新しいアプリケーションがBOPで発展するスピードでした。 モバイルと送金がいい例です。 私にとってBOP層がレアプリケーションとハイテクソリューションに適合し、習得したことは大きい驚きでした。 携帯電話のアプリケーションで天気とローカル価格の情報を提供するトムソンロイターの成功を見てください。 人々は情報によって、それ以上の稼ぎを得ることができるので、、1か月170ルピーを支払っても構わないと思っています。

第2の思いもかけないことは、BOP市場が新しい市場を開発する非常に複雑で面白いアプローチをつくっている方法です。これは基本的に新しいビジネスモデルを伸ばしています。 情報の市場-価格情報と気象通報-は伝統的に金持ちの特権でした。 今、携帯電話をもっている皆はそれを持つことができる。
起こった変化の一つとして、農業者としての私が生産性を上げると仮定しましょう。 これまでは野菜か小麦に関係なく、現地購入者に生産物を販売せざるを得ませんでした。 買い取り価格を下げられることもしばしばだったため、私には生産性を改良する理由が全くありませんでした。 しかし、今、200km半径ならどこでも、様々な買い取り価格をチェックできます。売リ先に選択肢・オプションがあると、私の生産性を上げたいと思うでしょう。

財界の指導者は、良い行いをしますが、”博愛”または”CSR”とするのではなく、事業の範囲とする必要があります。 そしてより包括的にします。 商業を民主化してください。 情報に近づく手段を持っている人々は、不平等を許容しないでしょう。

始めからあったの討論の1つは「BOPのための富と向かいあったBOPの富であるかどうか」ということです。 これに関するあなたの考えはどこに立ちますか?それは愚かな討論です。 それは二者択一ではありません。 消費者のための価値が全くなければ、どんなビジネスもそれ自体を続けることができません。 双方が価値を得ないなら、取引は発生しません。 それはビジネスにおける真理です。

ここ5年間で、BOP市場で学んだ重要な教訓は、貧困緩和への伝統的なアプローチは、エリートが、何をしたらよいかを貧乏人に言わなければならないと仮定していました。 しかし、多くの知識と能力がBOP層の人々にありました。彼らは賢いということです。

ビジネスモデルを変えないと、あなたはこのチャンスを手に入れることはできない。 私は、Airtelがインドの農村地域に移転することに関して不平を言っているとは思いません。 イノベーションがBOPの中心にあります。 チャンスはグローバルに少なく見積もっても40億人の消費者です。 AirtelはMTNと交渉しています–彼らがインドで学んだ同じ方法をアフリカにもたらすならば、可能性を見てください。
ルールを破るなら、あなたはこのモデルをまた、先進国にもっていくことができます。

TATA・NANOはヨーロッパで売れるはずです。

イノベーションはBOPから先進国に伝わるでしょう。





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24th 11月
2009
written by admin

BOPsimozawa

国際協力NGOセンター

(JANIC)
事務局長 下澤 嶽さん


1958年8月 愛知県生まれ。
1982年4月 大学卒業後、英国のCSV(Community Service Volunteers)の1年間ボランティアに参加。
1984年6月 帰国後、日本青年奉仕協会、世田谷ボランティア協会を経て、(特活)シャプラニール(=市民による海外協力の会)の駐在としてバングラデシュへ。
1998年7月 再び国内に戻り、シャプラニールの事務局長に就任。
2002年7月 シャプラニールを退職。
2006年7月 (特活)国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長に就任し、現在に至る。



キーワード
■一概にBOPといえど、年間総所得3000ドルと500ドルでは大違い
■大事なのは本当の”Base”の人たちへリーチすることができるのか
■果たして日本企業の力で参入できるのだろうか

現在JANICがおこなっている活動は?

企業がBOPビジネスを検討するに際し、NGOがどのようにそこへ関わっていくのか。NGOは開発途上国と企業をつなぐ顔としての役割を期待されているように感じています。とはいえ、まだ具体的にJANICとして明確な方針をもち、具体的なアクションする状況になってはいません。これからおおまかなBOPに対する方針を一度打ち出そうと議論を深めていく予定です。
”企業との連携を進めるNGO”にとってBOPはまさにひとつの連携の可能性といえますが、まだその定義があいまいな部分があり、無条件でBOPに賛成というNGOはあまりいないのではないかと思います。今議論で大切なのは、BOPの定義や対象者を明確にし、この部分は賛成だが、ここには慎重に考えるといった思考法が大切だと思います。
JANICが推進しているCSR推進NGOネットワークは企業メンバーとNGOで構成されていますが、BOPを学習テーマのひとつとして扱っています。その勉強会のひとつとして、「BOPビジネスとCSR」と題したパネルディスカッションを09年11月30日(月)に行います。

下澤さんが思うBOPビジネスとは?

これまで開発途上国の支援は、先進国の税金を使って「援助」を行うことが主流でした。しかし、援助の額や質の伸び悩みがあり、これだけでは金銭的、技術的、知見的に限界があるのではないか、といった限界が指摘されることが多くなってきました。そんな中で、企業が開発途上国の発展のためのプレイヤーとして期待される部分が強まっていているだのと思います。
私はBOPを基本的に、「技術力、商品開発力、マーケティング力を通しての途上国貧困層への貢献可能性」と理解しています。企業のこうした力が、どのようにすれば開発途上国の貧困層へよい影響を与えることができるのかだと思います。
そういった前提に立ったとき、重要な視点があると思います。BOPは開発途上国のどの貧困層を意識して考えるかということです。BOPと一概に呼びますが、その幅は広く、年間総所得が3000ドル~500ドルまであります。3000ドルのラインで暮らす方々へのマーケティングは地元の企業でも多国籍企業でもすでに一部進められているものです。NGOとして重要だと考えるのは、年間500ドル近く暮らす一番”Base”の人たちへいかにリーチし、効果を出すことができるのか、です。3000ドルライン~500ドルラインまでをひとつに大きくまとめて、考えようとすること自体に問題があるような気がしています。
もうひとつ懸念するポイントがあります。それは、BOPの議論は、彼らをいかに消費者化することに議論が偏っていないかということです。貧困層は生産者、販売者としての能力ももちあわせています。それを共に強化する視点が必要だと思います。消費者化することを一概に否定はしていませんが、その地域の人ができるだけ生産ライン、販売ラインから利益を得られるような仕組みを同時に考えるべきだと思うのです。

今後の注目ポイントは?

BOPを議論するときに一番気になるアクターは、開発途上国の南のNGOです。南のNGOは、貧困層を消費者としてではなく、生産者や販売者となるような事業も展開しています。南のNGOの事業は先進国の企業と比べ、運営コストが安いだけでなく、成功率も高く、事業を通して最貧困層が裨益する可能性が高いのではないかと感じています。もちろん個人的には、日本企業の競争力や技術力でこのBOPビジネスで十分な競争力を持って活動できるのか、注目しています。

インタビュー後記

NGO86団体を正会員に持つ(09年6月現在)JANIC。NGO団体の中には、貧困層を支援対象に抱える団体が数多い。彼らは、現地政府、NGOと連携して日々活動している。企業がBOPビジネス参入に際し、現地のニーズは絶対だ。その際生まれる質問が、CSR活動、CRM(コーズ・リレーテッド・マーケティング)同様、「どこと組めばよいのか?」だろう。下澤さんは「水先案内人」という言葉を使っていたが、現地マーケットへの重要なパイプとなる役割をJANICはじめ、NGOは今後一層期待されることと思う。アフリカでは農村エリアに販路を持つ飲料メーカーが、NGOの支援物資の運搬を一部担っていると聞いたことがある。企業、NGOそれぞれの特性を活かし、こんなモデルがあったのか!というwin-winであり、かつ斬新な仕組みが次々と現れることだろう。

株式会社Granma
熊坂 惟





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